イギリスに、A という靴の会社と、B という靴の会社があった。
売り上げの、かなりの部分を、輸出が占めている。
新しい国に、販路を設けるのが、重要な仕事だ。
ある時、たまたま、同時期に A 社 と B 社 が、
M という国を、視察にいった。
M という国は、発展途上国で、南国だ。
M 国を、見てまわった A 社の営業マンは、
本社の上司に、電話をして言った。
『 この国は、ダメです。誰も靴なんか、はいていません。』
B 社の社員も、本社に電話した。
『 この国は、最高です。まだ、だれも靴をはいていません。』
by 中島 らも