信吾が近づいてきたと思ったら、
いきなり、抱きすくめられた。
有希穂は、突然のことに声も出ない。
信吾は黙ったまま、有希穂の身体を
抱きしめつづけている。
有希穂は、信吾の腕のなかで、
張り詰めた神経がほぐれていくのを感じた。
目を瞑り、信吾の力に身をゆだねる。
温かなものに包まれる感覚。
全身に心地よい痺れが走る。
信吾が、力をゆるめた。
身体を離し、見つめあう・・・
「 エネルギー充填完了 」
有希穂が言うと、
「 よし 」
と、信吾が応えた。
『 天使の代理人 』 by 山田 宗樹