2015.06.03
「 ねぇ、めぐみちゃん 」
私も足元に置いてあったバッグを上げた。
「 私も、間違ったことしてみるよ 」
「 え、? 」
「 だから私も、一度ぐらい間違ったこと、
ちゃんとしてみる 」
私は電車に乗り込みながらそう言った。
間違えないようにと、じっと動かずにいるよりも、
間違えて、泣いてもいいから、
ここから動き出してみようと思った。
『 7月24日通り 』 by 吉田 修一