眼をひろげて、
太平洋戦争全体を、ひとなぐり、と見れば、
あの、むちゃくちゃぶりが、戦後の日本を、
どれほど高く、世界に売りつけることになったか、
わからない。
無軍備と称して、それが必ずしも
近隣諸国に、あなどられず、また、アメリカが
のどから手がでるほど、日本軍の助力を
望みつつ、あえて、それを強制しないのは、
いずれも、軍国日本の再現を、
さらに、厄介なものと見ているからである。
アジアと太平洋で、あばれ死にした
数百万の日本兵は、決して犬死ではなかった。
とはいえ、それはなんという大きな犠牲であったか。
『 妖説 太閤記 』 by 山田 風太郎