「 人は誰しも、言葉によって他人とコミュニケイトし、
言葉によって思考する。それは、言葉によってはじめて、
人間は人間になることができる、ということだ。
ところが、ろう児は、骨を折って学習しなければ、
言葉を獲得することができない。
又、いったん獲得できた言葉も、使わずにいると、
どんどん忘れてしまう。
それなのに世間の人は、ろう児を敬遠して、
話しかけてもくれない。
ろう児にとって、話す相手のない孤独は、
人間性を失ってしまう恐怖を伴っているのだ 」
『 四つの終止符 』 by 西村 京太郎