酒がないと眠れないと訴えると、
アモバンとサイレースという薬を処方してくれた。
アモバンは入眠を促す薬で、
サイレースは睡眠を持続させる薬だそうだ。
たしかにこれを飲むと、アルコールなしで眠れるようになった。
ただしそれは、眠ったというよりも、
深夜二時から朝の十時までタイムスリップしたような感じで
眠りにつくときの、倦怠、疲労、絶望が、
目覚めたときにそのまま残っていた。
眠っているはずなのに、まるで、二十四時間
一睡もせずに、生活しているような気がした。
『 嫌われ松子の一生 』 by 山田 宗樹