R.2.11月4日(水)
快晴です。
豊田市 漢方薬
❮ 王とサーカス ❯ by 米澤 穂信
[ ハゲワシと少女 ]
報道写真に与えられる最高の名誉、
ピュリッツァー賞を得た写真のことを連想する。
1993年、内戦が続くスーダンで、報道写真家ケビン・カーターは、
一人の少女を発見した。
四肢は痩せ衰え、栄養失調で腹ばかりふくらんだ少女が、
乾いた大地にしゃがみ込んでいる。
その数メートル後ろでは、地面に下りた1羽のハゲワシが少女の方を向いている。
写っているものは、それで全てだ。
けれど、この写真は強い連想を呼び起こす。
ハゲワシはなぜそこにいて、しゃがみ込む少女を見ているのか。
– – – 間もなく命尽きる少女を餌食にするためだ。
飢餓ゆえに人間が死に、鳥がそれを食おうとしている。
この写真は、その内包するメッセージの強さゆえにピュリッツァー賞を得た。
しかし、写真家は称賛だけではなく大きな批難にも晒された。
[ なぜ] と批判者言った。
[ なぜ少女を助けなかったのか?その場にいながら、
あなたはただそれを撮るだけで、死のうとした少女のためには、
何もしなかったのか?]
写真家は反論した。そうではない。見殺しにしたわけではない。
私は、少女が自力で立ち上がって配給所へ歩き出すのを確かめてから、
その場を立ち去ったのだ。と、
しかし、少女の無事を見届けるカメラマンを撮った写真はない。
疑問と批難の中、ピュリッツァー賞授賞者、
ケビン・カーターは、自らの命を絶った。
豊田市 漢方薬