R.3.1月3日(日)
曇りです。
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❮ ゴールデンタイム ❯ by 山田 宗樹
いいか、初日の芝居が最後まで終わってオペラカーテンが閉じていく。
カーテンが閉じても、客席からはなにも聞こえねえ。
拍手どころか、咳一つぬえ。しん – – – -と静まりかえっている。
オレたちは、みんな蒼白になる。
( しまった。ダメだった。失敗した。- – – どうしよう- – – )
[ ミックが、悲しそうに目をつぶる。 ]
そしたら、ぱちん- – – – と一つだけ拍手が聞こえるんだよ。
また、ぱちん、ぱちん、と聞こえた。
まばらな拍手が少しずつ起こるんだ。
少しずつ、少しずつ、拍手の数が増えていく。
まるで、遠くからなにかが近づいてくるような – – – -。
ああ、何人かは、オレたちの芝居を観て楽しんでくれたんだ。よかった。
そう思った瞬間だ。
まるで地の底から噴き上がってくるような振動が、ぶぁーっと、
[ ミックが目を見開き、両手を高々とあげた。 ]
劇場を揺らすんだ。いままで聞いたこともねえような嵐みたいな凄い拍手だ。
それだけじゃねえ、うぉぉぉーって、唸りとも、歓声とも知れねえ声が、
分厚いカーテンを震えさせる。
やがて、カーテンコールだよ。カーテンがひらく。
目の前の客席に座ってる客なんて一人もいねえ。みんな立ちあがってる。
目は真っ赤で、でもこの上なく満足そうな笑顔で、手を叩いている。
オレたちは、客席から伝わってくるバイブレーションを全身で受け止める。
[ ミックが両手を大きくひろげ、感極まった表情で目をとじる。]
– – – – 俺は本気で感動してしまった。
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