『 いまのホームレスは、みなケータイを持っているさ。
今は、そういう時代だ。
家賃を滞納しても、電気、水道を止められても、
住む部屋がなくても、子供の給食費を滞納しても、
とにかく、ケータイだけは持ち続けるし、
料金を払い続ける。
一昨年あたりから、人間はケータイがないと
生きていけない生き物に成り果てたんだ。
再来年あたりには、ケータイがないと缶コーヒーが買えない、
なんてことになっているぞ、きっと。』
『 あなたは、ケータイを持ってないんでしょ?』
『 そぅだ、その一点を見るだけで、
俺が、どれほど優れた、卓越した存在であるか、
わかるだろう。』
『・・・はぁ、・・・まぁ 』
『 冗談だ 』
『・・・・・』
「 探偵、暁に走る 」 by 東 直己