明けまして、おめでとうございます。
R.4.1月1日(土)
快晴です。
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❮ ゴールデンタイム ❯ by 山田 宗樹
いいか、初日の芝居が最後まで終わって、オペラカーテンが閉じていく。
カーテンが閉じても、客席からはなにも聞こえねえ。
拍手どころか、咳一つねぇ。
しん – – – と静まりかえっている。
オレたちは、みんな蒼白になる。
( しまった。ダメだった。失敗した。どうしよう – – -。)
[ ミックが悲しそうに目をつぶる ]
そしたら、ぱちん – – -と一つだけ拍手が聞こえるんだよ。
また、ぱちん、ぱちんと聞こえた。
まばらな拍手が少しずつ起こるんだ。
少しずつ、少しずつ拍手が増えていく。
まるで、遠くからなにかが近づいてくるような – – -。
ああ、何人かは、オレたちの芝居を観て楽しんでくれたんだ。よかった。
そう思ったつぎの瞬間だ。
まるで地の底から噴き上がってくるような振動が、ぶわーっと。
[ ミックが目を見開き、両手を高々とあげた。]
劇場を揺らすんだ。
いままで聞いたこともねえような嵐みたいな凄い拍手だ。
それだけじゃねぇ、うぉぉぉーって、歓声とも知れねえ声が、
分厚いカーテンを震えさせる。
やがて、カーテンコールだよ。カーテンがひらく。
目の前の客席に、座ってる客なんて一人もいねえ。
みんな立ちあがってる。目は真っ赤で、
でも、この上なく満足そうな笑顔で、手を叩いている。
オレたちは、客席から伝わってくるバイブレーションを全身で受けとめる。
[ ミックが両手を大きくひろげ、感極まった表情で目を閉じる。]
– – – 俺は、本気で感動してしまった。
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