2014.03.12
実は、憧れてもいた。
先輩の中にも、小指のない奴は何人かいた。
ヤクザの証である。
大人になったら自分も小指を落とそうと、思っていた。
そして、どこかの店に入る。
『 いらっしゃい!何名様で? 』
『 おう、これだけや 』
第一関節から先がない小指で、手のひらを高く上げる。
『 大人四名様とお子様一名でございますネ 』
『 あほ!五人や五にん! 』
やりたかった。ぜひ、やってみたかった。
「 岸和田の血 」 by 中場 利一