『 ぼくは、共産主義が嫌い。でも、
いい職場に就職出来るのは、
共産党員になった人たちだけ、でも、ぼくは、
自分の心に嘘をついて、形だけの共産党員になり、
いい仕事につきたいとは思わない。
ハンガリーの民衆の中で、共産主義を信じている人なんか
ひとりもいないよ。
スターリズムの時代に、ハンガリーでも、たくさんの人が殺された。
スターリズムに反対する人たちがね。
みんな優秀な人たちばかり、
残ったのは、アホばっかり、
そのアホたちが、党や政府や軍の高い地位についた。
アホたちは、自分の子供をいい職場に就職させる権力を持っている。
でも、そのアホたちの子供も、アホばかり。』
自分の国のことを考えると、心が暗くなる。
ポラージュはそう言った。
「 彗星物語 」 by 宮本 輝