「 世之介さんと・・・、その、なんて言いますか・・・
その、愛し合うって言いましょうか・・・
それが、嫌だと言っているわけじゃないんですのよ。
でも、私、性格的に、いろんなものをきちんと
分けて考えるタイプでしょ。
食事の時間は食事。本を読む時間は本。
もっと言えば、
スパゲッティーの横に餃子があったり、
チャーハンの横にピザがあったりすると、
ほんとうに、混乱してしまうんですの。
だから、世之介さんみたいに、
ごはん食べているのか、その・・・
愛し合っているのか分からないような感じに
持ち込まれると、私、とても居心地が
悪くて混乱しますのよ。」
オナニーを覚えたての中学生みたいな、
世之介も世之介だが、
たかが、食事中にキスをされそうになっただけで、
ここまで言い返す祥子も祥子である。
というわけで、
今日は、屋外デートなのである.
『 横道 世之介 』 by 吉田 修一