成原漢方薬局

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漢方日記

2016.12.14

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『 ハゲワシと少女 』

報道写真に与えられる最高の名誉、

ピューリッツャー賞を得た写真のことを連想する。

1993年、内戦が続くスーダンで、

報道写真家 ケビン・カーターは一人の少女を発見した。

四肢は瘦せ衰え、栄養失調で腹ばかりふくらんだ少女が、

乾いた大地にしゃがみ込んでいる。

その数メートル後ろでは、地面に降りた

一羽のハゲワシが、少女の方を向いている。

写っているものは、それで全てだ。

けれど、この写真は強い連想を呼び起こす。

ハゲワシは、なぜそこにいて、

しゃがみ込む少女を見ているのか、

・・・間もなく命尽きる少女を、餌食にするためだ。

飢餓ゆえに人間が死に、鳥がそれを食おうとしている。

この写真は、その内包するメッセージの強さゆえ、

ピューリッツャー賞を得た。

しかし、写真家は賞賛だけでなく、

大きな批判にも晒された。

「 なぜ 」 批判者は言った。

「 なぜ、少女を助けなかったのか?

その場にいながら、あなたはだだそれを撮るだけで、

死のうとしている少女のためには、

何もしなかったのか? 」

写真家は、反論した。そうではない。

見殺しにしたわけではない。私は、

少女が自力で立ち上がって、配給所へ、

歩き出すのを確かめてから、その場をたちさったのだと。

しかし、少女の無事を見届けるカメラマンを

撮った写真はない。

疑問と批判のなか、

ピューリッツャー賞受賞者、

ケビン・カーターは、自らの命を絶った。

   『 王とサーカス 』 by 米澤 穂信

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