「 最後にもうひとつ、教えてやろう。
人間はなぜ文化的に進歩を遂げたのか。
人間は大概のことは耐えることができる。
だがなあ、たったひとつ退屈にだけは
我慢できない動物なんだ。
全ての出発点はそこにある。
退屈から逃げるために、進歩せざるを得なかったのさ。
単一のDNAに支配されたら、さぞ退屈だろうな。
個体差なんてなるべくあったほうがいいんだ。
ま、仕方ねえか。
そいつを望む人間がいるんだから。
ところで、おまえ、
無人島の生活だなんて、退屈だぜ 」
『 らせん 』 by 鈴木 光司