2012.09.12
浜辺に寺があり、その住職は、兵法書を
音読するのが、趣味であった。
ある時、住職が、『 孫子 』を読んでいると、
通りかかったまだ少年時代の蟹平が、声をかけた。
『 読み違いではないですか。』
と、いうのである。
文字も読めぬくせに、なぜそんなことを言うのか、
と、問うと、
『 それでは、負けてしまいますから。』
と、答えた。
調べてみると、確かに住職の
読み違いであった。
「 猿蟹合戦とは何か 」 by 清水 義範