R.1.8月15日(木)
くもりです。
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❮ ゴールデンタイム ❯ by 山田 宗樹
いいか、初日の芝居が最後まで終わってオベラカーテンが閉じていく。
カーテンが閉じても、客席からはなにも聞こえねえ。
拍手どころか、咳1つねえ。
しん- – – – と、静まりかえっている。
オレたちは、みんな蒼白になる。
しまった。ダメだった。失敗した。どうしよう- – – -。
[ ミックが、悲しそうに目をつぶる。]
そしたら、ぱちん- – – – と、1つだけ拍手が聞こえるんだよ。
また、ぱちん、ぱちんと聞こえた。
まばらな拍手が少しずつ起こるんだ。
少しずつ、少しずつ、拍手の数が増えていく。
まるで、遠くからなにかが近づいてくるような- – – – 。
ああ、何人かは、オレたちの芝居を観て、楽しんでくれたんた。よかった。
そう思ったつぎの瞬間だ。
まるで、地の底から噴き上がってくるような振動が、ぶわーと。
[ ミックが、目を開き、両手を高々とあげた。]
劇場を揺らすんだ。
いままで聞いたこともねえような、嵐みたいな凄い拍手だ。
それだけじゃねえ、うおぉぉーって、唸りとも歓声とも知れねえ声が、
分厚いカーテンを震えさせる。
やがて、カーテンコールだよ。カーテンがひらく。
目の前の客席に、座ってる客なんて、一人もいねえ。
みんな、立ちあがっている。目は真っ赤で、
でも、この上なく満足そうな笑顔で、手を叩いている。
オレたちは、客席から伝わってくるバイブレーションを全身で受け止める。
[ミックが、両手を大きくひろげ、感極まった表情で目を閉じる。]
– – – – 俺は、本気で感動してしまった。
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