『 ユビ。ひとつ、教えてやる。
自分の感情には、意味はない。ということは、
覚えておけ。』
『 感情に、意味がない・・・』
『 まぁ、社会で生きていくエチケットとして、
他人の感情は、大切にしてやらなきゃいけない。
人を傷つけちゃ、いかん。それは、当然だ。
だがな、自分の感情には、意味はない。
そのことを、知っておけ。』
『 はい。』
『 感情なんか、クスリでどうにでも変わる。
憂鬱、恐怖、興奮、悲しみ、怒り、喜び、
みんなそうだ。クスリでどうにでもなる。
化学薬品で左右される程度のものだ。
感情ってのはなぁ、そんな具合の、
どうでもいいもんなんだ。』
『 なるほど。』
『 覚えておいても、損はないぞ。』
「 名もなき旅 」 by 東 直己