R.4.4月27日(水)
曇です。
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❮ ゴールデンタイム ❯ by 山田 宗樹
いいか、初日の芝居が最後まで終わってオペラカーテンが閉じていく。
カーテンが閉じても、客席からはなにも聞こえねえ。
拍手どころか、咳一つねえ。
しん – – – -と静まりかえっている。
オレたちは、みんな蒼白になる。
しまった。ダメだった。失敗した。どうしよう。
[ ミックが、悲しそうに目をつぶる ]
そしたら、ぱちん – – – と一つだけ拍手が聞こえるんだよ。
また、ぱちん、ぱちんと聞こた。
まばらな拍手が少しずつ起こるんだ。
少しずつ、少しずつ、拍手の数が増えていく。
まるで、遠くからなにかが近づいてくるような – – – -。
ああ、何人かは、オレたちの芝居を観て楽しんでくれたんだ。
よかった。そう思った次の瞬間だ。
まるで地の底から噴き上がってくるような振動が、ぶわーっと。
[ ミックが目を見開き、両手を高々とあげた ]
劇場を揺らすんだ。
いままで聞いたこともねえような嵐みたいな凄い拍手だ。
それだけじゃねえ、うぉぉぉーって、唸りとも歓声ともしれねえ声が、
分厚いカーテンを震えさせる。
やがて、カーテンコールだよ。
カーテンがひらく。
目の前の客席に座ってる客なんて一人もいねえ。
みんな立ち上がってる。目は真っ赤で、
でもこの上なく満足そうな笑顔で、手をたたいている。
オレたちは、客席から伝わってくるバイブレーションを全身で受け止める。
[ ミックが両手を大きくひろげ、感極まった表情で目をとじる ]
– – – -俺は本気で感動してしまった。
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