❮ 与える木 ❯ by シェル・シルバスタイン
あるところに一本の木が生えていた。
木はある少年を可愛がっていた。
少年は毎日、木のところへ来て遊ぶ。
枝でぶらんこをしたり、りんごの実を食べたり、木陰で眠ったり、
彼は木が大好きで、木も幸せだった。
だが、時がたち、成長した彼の足は遠のく。
木は独りになることが、多いなった。
ある日、彼は来て、遊ぶためのお金がほしいと言う。
木は、りんごの実を売ってお金をつくるようにと勧める。
彼はりんごの実を採って去る。
木は幸せだった。
やがて壮年になった彼が来る。
家がほしい、結婚したいと言う。
木は枝で家が建てるよう勧める。
枝を切って、彼は去る。
木は幸せだった。
中年になった彼がまた来る。
遠くへ行くために、ボートがほしいと言う。
木の勧めで、彼は幹を切り倒し、ボートを造って去った。
長い年月がたった。
老人になった彼が戻って来た。
木は切り株だけなった自分の上で休むように勧める。
彼は言われるままにした。
木は幸せだった。
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