「 私は、辛いことがある度に、あの人の幸福を、
願っていました。
あの人が、どこかで生きていてくれれば、
私もやっていけるって、
世界を肯定できるって 」
香織が、声を詰まらせる。
「 だってそうでしょう。私達みたいな存在でも、
一時ではあったけど、あれほど幸福になることが
できたのだから、
・・・あんな毎日を、世界とか、何かに
見せることができたのだから。
・・・私はずっと、今は辛くても、
まだわからないって、
わからないからやっていこうって、
そうやって、生きてきました。
世界には、ああゆうことも、
起こるのだから 」